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古河電池株式会社




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お知らせ

産経新聞殿に小惑星探査機「はやぶさ」に関する弊社記事掲載

2010年10月6日

「はやぶさ」
(画像提供 池下章裕氏)

今年6月、約7年間の長旅を終えて地球に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」。約3億キロ先の小惑星「イトカワ」との往復では通信途絶や機器の故障などさまざまなトラブルに見舞われたが、関係者の機転で次々と乗り越えた。サンプル回収用のカプセルを送り届けた本体は大気圏で燃え尽きたが、宇宙開発への国民の期待は大いに高まり、カプセル内部の分析は現在も続く。偉業達成の背景にあったのは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に協力した関係企業の技術力と未知の世界に挑む情熱だ。はやぶさの成果を受け、政府は後継機「はやぶさ2(仮称)」の開発を決定。一部の企業は早くも参加に名乗りを上げ、はやぶさで得た技術や経験を武器に本格的な「太陽系大航海時代」へ乗り出そうとしている。

総力でつかんだ快挙

度重なる困難を耐え抜いたはやぶさの機体は主にNECが製造した。NECは日本初の人工衛星「おおすみ」以来蓄積してきた豊富な宇宙技術をもとに、はやぶさ計画のスタートから十数年間をJAXAとともに歩んできた。
「本当にこんなことができるのか」
後にNEC側のまとめ役となった現宇宙システム事業部マネージャの萩野慎二は、初めて計画を聞いたときに思わず身震いしたという。「小惑星からサンプルを持ち帰る」という世界初の挑戦。萩野は「きちっと取り組めば必ず結果はついてくると思った」と話す。
開発で苦労したのは機体の軽量化だ。多くの観測装置やサンプル回収用のカプセルなどが搭載されたはやぶさだが、許された重量は燃料込みで約500キログラム。開発にはNECの総力を結集し、機体の神経となる電気ケーブルを取り付けた熟練技術者の飯吉政春は後に政府から「現代の名工」に選ばれた。
7年間の飛行を支え続けたイオンエンジン4基の製造にも工夫をこらし、昨年11月にトラブルで残り1基となったときには、あらかじめ結んでおいた予備回路がピンチを救った。担当した堀内康男は「重量を増やさずにトラブルをしのぐため、可能性を模索した」と振り返る。
はやぶさの本体は燃え尽きたがNECに残した財産はとても大きい。過酷な飛行を耐え抜いたイオンエンジンだけでなく、現在開発中で人工衛星の標準バスとなる「NEXTAR(ネクスター)」の市場展開にも弾みとなる。
ネクスターは太陽電池や通信機器など人工衛星に不可欠な部分を共通化。量産による低価格化や信頼性向上などを目指すが、はやぶさの偉業は改めてNECの実力を全世界に示した。しかし、それ以上に大きかったのは「未体験の領域へ挑み、やり遂げた人間の存在だ」と萩野は力を込めた。

3千度に耐える

今年6月、はやぶさの本体から分離されたサンプル回収用カプセルは秒速約12キロで大気圏に再突入した。大気の抵抗で表面は約3千度まで加熱され、急激な減速で受けた力は重力の約50倍に達した。本体は満月に匹敵する輝きとともに燃え尽きたが、IHIエアロスペース(IA)が開発したカプセルは過酷な環境を耐え抜いた。
IAの再突入技術は1980年の固体ロケット「TT―500A」にさかのぼる。2003年には秒速約8キロで再突入した次世代型無人宇宙実験システム「USERS」の海上回収に成功。しかし、はやぶさが直面した環境はこれらよりもさらに厳しかった。
最も苦労したのは耐熱材の開発で、IA担当部長の松田聖路は「要求性能が高く、試験を繰り返した」と振り返る。カプセルが直面する環境を地上で再現することは難しかったが、それでも本番では再突入からパラシュートの展開、回収までほぼ完璧(かんぺき)だった。
開発の関係者には米アポロ11号の月面着陸を見て技術者を志した者もおり、「はやぶさを見た小中学生から、少しでも技術屋を目指してくれる子が出たらうれしい」と笑う。
人工物を宇宙空間から地上に戻すことは難しいが、はやぶさの成功はIAの高い技術力を示した。IA首脳は「はやぶさ2が立ち上がったら、是非積極的に参画していきたい」と早くも名乗りを上げている。

サンプルを守った電池

回収されたカプセルは一般公開され、既に10万人以上が見学に訪れた。展示では新品同様の内部容器が印象的だが、これを目にすることができるのは古河電池が開発したリチウムイオン電池のおかげだ。
05年11月、はやぶさはイトカワに2回着陸して地表物質の採取を試みた後、約7週間にわたって通信が途絶。その間、サンプルの入った試料容器は地球帰還カプセルに格納されていない状態だった。
このまま地球に帰還すると、再突入時の高熱が内部に伝わって容器は溶けてしまい、イトカワのサンプル回収は不可能となる。試料容器を帰還カプセルに格納しカプセルのふた閉めを完了させるにはリチウムイオン電池の電力が必要だった。06年5月、古河電池のチームはJAXAから依頼を受け、作業の検討を始めた。
しかし、既にリチウムイオン電池も損傷しており、無理に充電すれば破裂の恐れがあった。JAXAとの協力のもと、安全な方法を模索して約2カ月後に充電を開始。状態を確認しながら少しずつ充電し、約5カ月間もかけてやり遂げた。
技術開発本部担当課長の山本真裕は「この間、生きた心地がしなかった。充電完了の報を聞き、何ものにも替え難い感動があった」と話す。
古河電池はその後、はやぶさの経験を元に電池の性能を向上。今年5月に打ち上げられた日本初の金星探査機「あかつき」に搭載され、今も金星に向けて飛び続けている。もちろんはやぶさ2についても「胸躍るものがある。参加する機会を与えてもらえばはやぶさと同様に全力でサポートしていく」と意欲的だ。

ルーツは魚雷

三菱重工業は姿勢制御などに用いた「2液式化学エンジン(化学スラスタ)」を開発した。三菱重工の宇宙事業は国産大型ロケット「H2A」が名高いが、化学スラスタでも豊富な実績を有する。
化学スラスタはロケットエンジンの一種。三菱重工での開発は戦時中の魚雷研究やロケットエンジン戦闘機「秋水」にまでさかのぼる。戦後は地球観測用の固体ロケット「カッパ」をはじめ、数多くのロケットや人工衛星に用いられてきた。
はやぶさの化学スラスタは12基のノズルと組み合わせて使用。米国製のリアクションホイール(姿勢制御装置)の故障後は、代わりにイトカワへの着陸などの重要局面で活躍した。
しかし、2回目の着陸後に燃料漏れが発生し、そのまま役割は終了。開発関係者からは既に「はやぶさ2での再会を楽しみにしています」とリベンジを目指す声が上がっている。

精度は30万分の1

日本航空電子工業が開発した加速度計は、ジャンボジェット機の離陸時に感じる加速度の約30万分の1まで測定できる高精度を誇る。エンジン噴射の力や向きなどを把握するための装置で、2003年の打ち上げ後、イトカワに向けた軌道への投入に用いられた。
はやぶさは予備を含めて計5台の加速度計を搭載。日本航空電子は人工衛星用のほか、液体ロケット「H1」から最新の国産大型ロケット「H2B」に至るまで、正確な飛行に欠かせないセンサーや加速度計などを提供してきた。
はやぶさの成功を受け、「宇宙に関してはこれだけの実績を積んでいる。(はやぶさ2は)何が何でもやっていきたい」と意気込んでいる。

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